ねこに音楽の好き嫌いがあることは、科学的な研究でも実証されています。
ねこが好むのは、ズバリ、クラッシック音楽です。
2015年にポルトガルのリスボン大学の研究チームが、避妊手術中に全身麻酔をかけられて意識のない猫に、さまざまなタイプの音楽を聴かせる実験をおこないました。
実験によると、ねこはほとんどの音楽に対して呼吸が速くなるという反応をみせましたが、唯一クラッシック音楽を聴かせた時だけ、呼吸が落ち着いたのだそうです。
中でもねこが好むのは、高い周波数の音が続く音楽です。
野生時代の獲物である小動物の鳴き声が超音波であることから、本能的に高い音に快感をおぼえるためだと考えられています。
ねこが好む音域がある
ねこは音が聞こえる波長の幅(可聴域)が広く、とくに高い音を聞き取る感度が高いといわれています。
人が聞き取ることができる音域のうち、もっとも高い周波数は約2万3000ヘルツですが、ねこの場合は人の約3倍もの音域、6万4000ヘルツまで聞くことができますが、ねこが心地よく感じるのは、周波数が高くてやわらかい音だといわれています。
また、ねこは途切れずに細かく変化する「スライディング周波数」という音を好むといわれています。
スライディング周波数には、ねこがリラックスできるゴロゴロ音や母猫の乳を吸う音なども含まれます。
ねこがモーツアルトを好むといわれる理由
クラッシック音楽と一口にいっても、さまざまな分野がありますが、クラッシック音楽で高周波音を多く含むことで知られているのが、モーツアルトの曲なんです。
ちなみにモーツアルトも、大のねこ好きだったといわれています。
さらにモーツアルトの楽曲には、自然界のリズムである独特の「ゆらぎ」があるため、ねこが楽曲を聴き入ることで脳の働きを活性化し、免疫力を高めることが期待できるともいわれています。
ちなみに、ゆらぎの一種である「F分の1」というリズムは、人間にとっても心地のよい音の流れであることがわかっていて、たとえば美空ひばりさんの歌い方が、この「F分の1」のゆらぎのリズムをもつといわれています。
人間の脳にいいとしたら、ねこちゃんにもいい影響があるかもしれませんよね。
当然ながら嫌いな音もあるということ
好きな音があるということは、当然ながら嫌いな音もあるということです。
そのいくつかを紹介しましょう。
嫌いな音1.大きな音
キッチンで鍋などの大きな食器が落ちる音や人間がドタバタする足音、ドライヤーや掃除機の音は、ねこちゃんが苦手とする音です。
人間のくしゃみの大きな音もNGです。
嫌いな音2.低い音
低い音は、動物の威嚇の唸り声や自分を捕まようとする捕食動物の声を連想させるようです。
そのため、男性の低い声が嫌いというねこちゃんもいます。
嫌いな音3.超音波
ねこの耳には、かなりの高音(超音波)が聞こえています。
ねこが超音波を聞くことができるのは、ネズミなどの小動物の声を聞き取るためだと推測されています。
かつては、その超音波を頼りに狩りをしていたのですが、超音波が連続して流れ続ける環境は逆に緊張を強いられ、疲労してしまいます。
嫌いな音4.金属音
鍵をジャラジャラさせる音や食器を金属製のスプーンでカンカンと叩くような人工的な音は、ねこちゃんの嫌いな音です。
音を管理することは、生活環境を管理するということ
飼い主さんとしては、ねこちゃんの好きな音と嫌いな音を認識して、日頃からストレスを与えないような飼育環境をつくってあげることが重要です。
それにしても、ねこちゃんと一緒に音楽を楽しめるとしたら嬉しいですよね。
いくつか音楽を試してみて、もし愛猫の好きな曲がわかれば、室内の掃除や通院など、猫が苦手とするシチュエーションでその曲を流すことによって、ストレスを少なくしてあげられるかもしれません。
飼い主さんがいっしょに遊んだりおやつを与えたりすると、その音楽が流れるとうれしいことがあると覚えて、その音楽まで好きになることもあるといいますから、ぜひ一度チャレンジしてみてはどうでしょうか。