愛猫がある日突然牙をむいて家族や同居猫を攻撃してくることがあります。その原因は転嫁性攻撃行動、つまり「八つ当たり」かもしれません。
転嫁性攻撃行動の原因
ねこという動物は情動をコントロールすることを苦手としています。
突然、感情を爆発させたねこは、直接の原因や相手ではなく近くにいる人や動物に攻撃を仕掛けてきます。
視覚や嗅覚、聴覚を刺激されたことをきっかけに態度が豹変するのです。
飼い主さんがほかの動物の匂いをつけて帰宅したときや、同居猫同士のケンカに飼い主さんが仲裁に入ったとき、携帯電話の着信音にイラっとした瞬間などにスイッチが入ります。
さらにエスカレートすると、直接の理由がないときでも、攻撃行動が頻発するようになるケースがあります。
たとえば、たまたま電話がかかってきたときに同居猫とケンカが始まった経験をしたねこは、それ以降電話が鳴っただけで飼い主さんに八つ当たりで攻撃してくる場合があります。
通常であれば、何もないときに、ねこが家族や同居動物を攻撃することはないはずですが、ストレスがたまっている状態のときに何らかの刺激(たとえば電話の着信音)が加わるとスイッチが入って攻撃的になり、たまたまそこに居合わせた何もしていない人に八つ当たりをするということになるわけです。
攻撃性の高い傾向がある猫種と特性
攻撃行動が出やすいのは雑種よりも純血種、とくにアビシニアンなどのスレンダーな猫種に多く、南国生まれのねこのほうが繊細なので、攻撃性が高まる傾向があります。
ペルシャ、スコティッシュなどの長毛種はおとなしく、問題が起きにくいでしょう。
室内飼いのねこは外界の刺激にさらされた経験がないため、外に出ている猫よりストレス耐性が弱く、些細なことで攻撃行動が出やすいと考えられています。
暴れるねこを制御する方法
まずは落ち着かせる
ケガをする可能性があるので、興奮状態のねこに触れようとするのは避けましょう。
大きな声で叱ったり、体罰をするのも厳禁です。さらに問題行動が悪化する可能性があります。
攻撃を抑えるためには、事前に水鉄砲を用意して問題行動が見られたらただちに水をかけたり、音などで罰を与えます。
飼い主さんから罰を与えられたのではなく、あたかも天罰であるかのようにみせるのが重要で、暴れたり攻撃をすると嫌な思いをすることを経験的に教えます。
行動後、数秒以内に罰を与えるのがポイントです。
咄嗟の判断としては、毛布や大きいタオルを上からかぶせてしばらく様子をみるようにしてください。自然にねこの気分が落ち着くのを待ちましょう。
原因を突き止めよう
ねこが何に反応して攻撃してくるのかを突き止めましょう。攻撃対象になる相手や物や音、臭いなどを注意深く観察して、ねこが興奮するシチュエーションをつくらないようにすることが肝心です。
行動修正をおこなう
原因がわかったら、ねこが好きなモノと苦手な状況を組み合わせて、攻撃のきっかけを修正していく方法を考えましょう。
たとえば、掃除機の音に反応して攻撃のスイッチが入る場合は、掃除機をかけるときにゲージにねこを入れて、おやつを与えるなどして、掃除機と攻撃の関連を断ち切るのです。
まとめ
攻撃性行動の大きな原因はストレスです。普段からねこにとって快適な住環境を考え、質のよいおもちゃで遊んであげると同時に、愛猫の社会性を育て、ストレス耐性をつける努力をしましょう。
攻撃行動が出てしまったら、できるだけ早く原因を早く突き止めるのが肝心です。
飼い主さんが問題行動を解決できない場合には、専門家にアドバイスを求めるのもいい方法かと思います。