ねこは便秘になりやすい動物です。「たかが便秘」と軽く考えがちですが、病気のサインだったり、放っておくと慢性化して他の病気を引き起こす危険もあるのです。
ねこは便秘になりやすい動物なのです
理想的な排尿、排便サイクル
ねこの排尿は平均1日2~3回、排便は1日1回です。排尿回数が少ないということは水分補給が足りないということになります。そのために便が硬くなってしまうことが往々にしてあり、排便周期が長い体質のねこちゃんの場合、巨大結腸症などの心配があります。
ねこの便秘のメカニズム
ねこの消化器官の特徴として、骨盤あたりにある結腸と直腸の境目の部分が狭くなっているため、元々うんちが詰まりやすい構造になっていることがあります。大腸を通過する際にうんちに含まれる水分が吸収されていくため、大腸に長時間滞留するとカチカチになって詰まってしまうことがあるのです。
このことはねこがあまり水を飲まないことにも原因があります。
便秘になりやすいねこの特徴
肥満体のねこ
内臓脂肪が腸を圧迫して便が詰まりやすくなり、肥満猫に多い運動不足も腸の動きを弱らせて排便を困難にしてしまいます。
シニアや体力が落ちているねこ
年を重ねると体の水分量が減って、便を押し出すための腸の動きが弱くなります。病気などで体力が低下するとシニア猫と同様に、腹筋や腸の動きが弱まって便秘になりやすくなります。
シニアや、病気で体力が落ちているねこは、足腰や腹筋の力が弱くなっているために排便時にしっかり踏ん張ることができません。
神経質なねこ
トイレが汚いとか、トイレ周りの環境が気になるなどの理由で、うんちを我慢してしまう神経質なねこちゃんがいます。排便の機会を逃すと感度が鈍って便意を感じづらくなり、便秘が悪化してしまう傾向があります。
恐ろしい巨大結腸症
巨大結腸症は便秘によって引き起こされる病気です。
便秘が続くと水分が結腸に吸収されて便が硬くなります。そうなると、結腸が広がったままになり腸の蠕動運動も弱くなって、恒常的にカチカチの便が溜まるという悪循環に陥ります。
ねこは重度の慢性便秘に苦しむことになり、摘便や浣腸といった非常に辛い治療を便が詰まるたびにおこなわなければならなくなります。最終的には外科手術によって結腸の伸びた部分を切除することもあります。
便秘対策
運動不足解消
腸の動きを活発にするための運動が効果的です。室内飼いのねこは放っておくと寝てばかりで運動不足になりがちです。1日15分程度でいいので、おもちゃなどを使って積極的に遊んであげましょう。
フードを替えてみる
愛猫の普段の主食がドライフードの場合は、消化器サポート機能のあるフードに変更するのもひとつの手かもしれません。その場合は、かかりつけの動物病院に相談してから切り替えましょう。
水を効果的に飲ませる工夫
便秘対策には適量の水分摂取は欠かせません。
そのときの気分によって水を飲みたい場所や好みの器が変わる子もいますから、いつでも水が飲めるように部屋の複数の場所に水を置いたり、自動給水機や洗面所の蛇口を少しだけ空けておくなどの工夫をしてみましょう。スープタイプのウエットフードや猫用ミルク、鶏肉の煮汁などを使うのもいいでしょう。
整腸剤を活用する
腸内環境改善をサポートする犬猫用サプリメントが数多く販売されるようになりました。乳酸菌やオリゴ糖、野菜発酵エキスなどさまざまな種類があります。応急的にビオフェルミンなどを飲ませてあげても大丈夫です。
まとめ
日頃のねこちゃんの排尿、排便のサイクルを確認するようにしましょう。
便秘の大きな原因は、適量の水分を摂っていないことにあります。硬すぎるうんちや大きすぎるうんちは注意信号で、2日以上便通がない場合は便秘の可能性が高いです。便秘が重度になると、巨大結腸症や腸閉塞などの病気を引き起こす可能性もありますので、すぐに動物病院を受診しましょう。