通常であれば猫の歯茎はきれいなピンク色をしています。歯茎の色に異変が見られる場合には何らかの病気にかかっている可能性が考えられますが、なかでも歯茎が白くなる場合に考えられる病気について解説します。
原因は貧血だった
ねこの歯茎が白くなる主な原因は貧血です。
貧血の原因は大きく分けて3つあります。大量出血している場合、何らかの病気で赤血球がつくられなくなっている場合、赤血球が壊されている、いわゆる溶血性貧血の3つです。たとえば、ねこがネギ類を食べると、中毒症状によって溶血性貧血が起こります。
深刻な病気の場合もある
赤血球がつくられずに貧血を起こしている場合は、深刻な病気の影響が考えられます。
猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルス感染症は、猫白血病ウイルス(FeLV)に感染して引き起こされる病気です。初期症状として貧血によって歯茎が白くなり、発熱や食欲不振、倦怠感や全身のリンパ節が腫れるなどの症状が見られます。
また免疫力の低下による口内炎、皮膚炎、鼻炎、下痢が見られるようになります。猫白血病ウイルスの感染が骨髄まで及んだ場合は細菌に感染しやすくなり、数年以内に死亡する可能性が高いとされています。
ヘモプラズマ感染症
ヘモプラズマ感染症はヘモプラズマと呼ばれる病原体がねこの赤血球に寄生することで発症します。
ヘモプラズマ病原体にはいくつかの種類があり、なかでもマイコプラズマ・ヘモフェリスは重度の貧血を引き起こし、歯茎が白くなり、食欲減退や黄疸などの症状も見られます。
感染ルートはダニやノミによる媒介や感染したほかのねことのケンカです。発症すると免疫力が低下し、猫白血病ウイルス感染症や猫免疫不全ウイルス感染症を併発するケースも多いようです。
子宮蓄膿症
子宮子宮蓄膿症は子宮内部に膿が溜まるメス猫特有の病気です。
細菌が子宮内に侵入し、繁殖することで発症する病気ですが、多くの場合は避妊をしていないメス猫に発症しやすく、原因と考えられている菌は、大腸菌やブドウ球菌、サルモネラなど様々です。貧血によって歯茎が白くなり、大量飲水が見られます。陰部から出血や膿がある場合は子宮蓄膿症を疑ってよいでしょう。
放置しておくと死に至る怖い病気です。基本的には外科的な治療が推奨されますので様子を見ずにすぐに病院に行きましょう。
慢性腎臓病
慢性腎臓病はねこに多い病気です。全ての猫種に発症の可能性がありますが、特に高齢のねこがかかりやすいと言われています。腎機能が低下すると貧血の症状が現れます。腎臓でつくられる造血因子であるエリスロポエチンというホルモンの量が減ると、骨髄で血液をつくれず貧血を起こしてしまいます。
猫の歯茎が白い、大量飲水、薄い大量のおしっこをする、嘔吐などの症状が見られたら早めに動物病院を受診してください。
まとめ
ねこの歯茎の色は、健康状態を把握するバロメーターです。
猫に多い歯周病では歯茎が赤く腫れますが、白い色をしている場合は貧血によるものです。普段から愛猫の口の中をチェックする習慣があると、異変に早く気づくことができるでしょう。長く貧血の状態が続くと、全身疾患に繋がるリスクも高いので、歯茎の色がいつもと違うと感じたら早めに動物病院を受診して下さい。