ねこと一緒に暮らしていて気がつくのは、「よく吐く」ということです。
毛づくろいの時に飲み込んだ毛玉を吐いたり、食べすぎや飲みすぎで嘔吐したりすることは特に珍しくありません。
ただ、ゲェッゲェッと苦しそうな声をあげて吐く姿を見ると、家族としては不安になりますよね。
ねこがよく吐く理由
ねこは元来よく吐く動物です。
自然界において、肉食動物のねこは獲物を丸のみに近い状態で食べる習性がありました。
そのため、獲物の毛や小骨などの消化できないものを排出しなければなりませんでした。
また自分の胃袋の大きさ以上の量を食べてしまうことがあり、食事をするたびにそれらを吐き出す必要があったのです。
ちなみにライオンやトラなど、ほかのネコ科の肉食動物にも同じ習性があります。
吐き出したものを確認しよう
吐いている姿を見ると慌ててしまいますが、落ち着いて吐瀉物を観察しましょう。
毛玉の場合
ねこは自分の身体を舐めてグルーミングをします。
そのときに知らず知らずのうちに毛を飲み込むため、胃の中に溜まった毛を毛玉となって吐き出します。
とくに長毛種は毛玉ができやすく、日常的によく吐き出します。嘔吐物が毛玉だけなら、とくに心配はしなくてもいいでしょう。
透明な液体の場合
透明な液体や白い泡を吐くことがありますが、これは胃液です。
お腹が空きすぎると胃液を吐くことがあり、胃液を吐いた後にごはんを食べて、けろっとしていれば心配ありませんが、嘔吐を繰り返す場合は病気のサインかもしれません。
また、異物を誤飲して吐き出そうとして胃液を吐いている場合があるので注意しましょう。
黄色っぽい液体の場合
空腹時や胃の運動が低下しているときに、まれに黄色い液体を吐くことがあります。
この黄色い液体は、おそらく胆汁です。
本来、腸に流れるはずの胆汁が胃に逆流してきたものだと考えられます。空腹の時間を空けすぎないようにすれば逆流することはなくなります。
吐瀉物に血が混じっている場合
血液には3種類あります。まずは色を観察してから出血元を確認しましょう。
黒っぽい茶色をしている場合は出血してから時間が経過している証拠で、出血元は呼吸器の可能性があります。
鮮やかな赤色の場合は、口腔内や咽頭部の出血食道内出血が考えられます。
胃や腸など内臓から出血している場合に、黒っぽい茶色のものを吐くことがあります。
これは相当時間が経って酸化した血液で、出血原因は重度の潰瘍や腫瘍かもしれません。
異物が混じっている場合
吐瀉物に異物が混じっている場合は誤飲のおそれがあるので、吐き出したものを観察して確認しましょう。
もし吐瀉物に細長いそうめんのようなものが混じっていたら、それは「ネコ回虫」という寄生虫かもしれません。
ネコ回虫は小腸に寄生する回虫で、人間にも感染することがあるので注意が必要です。
まとめ
嘔吐は健康なねこでも見られる行動ですが、重篤な疾患のサインの可能性もあります。
気になることがあれば気軽に獣医さんに相談しましょう。
一日に何度も吐いたり、嘔吐が何日も続く場合は、誤飲や消化器系の病気のサインかもしれません。また、吐きたくて何度もえずいているのに何も吐き出せない症状は、毛玉が溜まってしまっている毛球症(もうきゅうしょう)の可能性があります。
病的な嘔吐の場合は、時間が経てば経つほどねこちゃんの体や消化器官へのダメージが大きくなるので、すぐに動物病院に連れて行きましょう。