ねこを単頭飼育している飼い主の皆さん!
一匹だけで留守番させるのはかわいそう…
遊び相手がいた方がいいのでは?
と考えたことはありませんか?
しかし、ねこの生態を理解せずに多頭飼育をはじめてしまうと思わぬトラブルの原因となります。
今回は多頭飼育のポイントと飼育崩壊の注意点についてお伝えします。
多頭飼育の心得
食事とトイレの管理ができるかどうか
多頭飼育では、食事とトイレの管理が最重要テーマです。
●それぞれのねこが充分な食事を摂れているか ●トイレにストレスを感じていないか
こういった確認ができない状態では困ります。
トイレについては「ねこの頭数+1個以上」を設置するのが望ましいといわれています。
ほかのねこの便が放置してあると、排便を我慢してしまう子が多いからです。
ねこによって猫砂の細かさや材質の好みが違うので、複数のバリエーションのトイレを用意してあげるといいでしょう。
健康管理ができるかどうか
食事や排泄と同様、それぞれの体調管理ができない状態であれば多頭飼育の限界を超えていると言わざるを得ません。
トイレに下痢や血尿があっても、どの子のものなのかわからない状態では対策を立てられなくなります。
飼い主さんが一匹ずつの体調変化に気づいてあげられる範囲が飼育頭数の限界の目安と言えます。
なわばりの確保ができるかどうか
トイレとご飯を食べるスペースや寝る場所は、それぞれ50センチ以上離さなければいけません。
部屋で自由にさせる場合はゆったり放し飼いできるスペースが必要です。
ねこ同士の間隔が3メートル以上確保できるスペースがあるかどうかを確認しましょう。
ねこ同士でケンカになった場合に逃げ場をつくってお互いのストレスを軽減する必要があります。
ねこの繁殖力
意外に思われるかもしれませんが、ねこは大変繁殖力の強い動物です。
ねこの繁殖のサイクルについて知っておきましょう。
①メスねこは生後6カ月で繁殖可能になる ②妊娠期間は2カ月 ③一度に平均5匹出産する ④子ねこは生後2か月で離乳し、母ねこは次の妊娠が可能になる
避妊手術をしないとねこは爆発的に増える
多頭飼育崩壊の現場を具体的にみてみましょう。
たとえば、今年の1月に生殖可能なオス(X)とメス(A)の2匹の飼育を始めたと仮定して、その後どのように増えていくのか計算していきましょう。
一度の出産を5匹(オス3、メス2)とします。
1年目の3月
Aが5匹を出産(オス3匹)と(メスB、C)し、飼育数は合計7匹になります。
1年目の7月
Aが2回目の出産です。5匹を出産(オス3匹)と(メスD、E)し、飼育数は合計12匹になります💦
1年目の11月
B、Cが出産可能になり、それぞれ5匹ずつ出産(オス6匹)と(メスF、G、H、I)し、合計22匹になります💦💦
1年目の12月
Aが3回目の出産です。5匹を出産(オス3匹)と(メスJ、K)し、飼育数の合計は27匹になります💦💦💦
2年目の3月
B、Cが2回目の出産です。それぞれ5匹ずつ出産(オス6匹とメスL、M、N、O)し、合計37匹になります💦💦💦💦
2年目の4月
Aが4回目の出産です。5匹を出産(オス3匹とメスP、Q)し、飼育数は合計42匹になります💦💦💦💦💦
Aを含めてその先に生まれるすべてのメスねこに避妊手術をしないと、この調子でどんどん近親交配がすすみ、爆発的に数が増えていきます。
単純計算になりますが、ネズミ算ならぬネコ算で、飼育を開始してから2年後にはねこは軽く100匹以上に増えてしまいます。
うっかり避妊せずに育てると、このような悲惨な状態になってしまう危険性があるのです。
まとめ
多頭飼いできる頭数については、
●食事とトイレの管理ができること ●健康管理ができること ●ねこがストレスなく暮らせるスペースを確保できること
以上の3つのポイントによって判断しましょう。
実際問題として、ひとりの人間が世話できる数はせいぜい3匹程度です。
多頭飼育が崩壊する原因は避妊をしないことです。
数が増えてきて避妊手術をしようと思ったら、多額の手術代がかかることになります。
迷っているうちに、2か月後にはまた子ねこが生まれるという悪循環に陥ってしまい、あっという間に飼育崩壊が起こります。
そうなる前に、忘れずに避妊してください。