ブルドッグやパグ、シーズーなどのマズルの短い鼻ぺちゃ犬を短頭種といいます。
マズルが短いことによる歯の特徴は病気のリスクにもつながります。
今回は短頭種の歯の特徴とケアの方法について解説します。
代表的な短頭種
元来、犬はマズルが長い動物ですが、人間が使役や愛玩などの目的に合わせて品種改良をおこなった結果、鼻が短くなっていった犬種があります。
ブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグ、狆、ボストンテリア、ボクサー、シーズーのほか、チャウチャウやマルチーズ、ヨークシャーテリアやチワワも短頭種に分類されています。
短頭種の特徴
これらの短頭種は上顎の骨が下顎に比べて小さくなり、上下の歯の噛み合わせが合わなくなったり、歯並びが悪くなる傾向があります。
アンダーバイト(受け口)
ほとんどの短頭種は、下あごが上あごよりも長い受け口です。
アンダーショットやアンダーバイトとも呼ばれ、度合いは犬種によって異なります。
噛み合わせのズレが大きくなりすぎると、歯が歯肉を傷つけたり、上の前歯が下の前歯の根元に絶えず当たっている状態から、下の歯が折れてしまうこともあります。
小さな顎
犬の歯(永久歯)は、哺乳類としては多く42本もあります。
短頭種の短くて小さな口のなかに42本もの歯が詰め込まれるため、とくに小型犬種の場合に、歯並びが悪い事例が顕著です。
また、欠歯といって、歯の数が少ない子もいます。
歯の数が違えば噛み合わせも悪くなり、歯垢も溜まりやすくなります。
大きく湾曲している上顎の骨
短頭種の犬の顔は、マズルが押しつぶされたような形をしていて、上顎の骨が左右に大きくカーブして、頬が大きく張り出したように見えます。
そのため、ブラッシングする場合に、歯ブラシがなかなか届かないなど、歯のケアがしづらい顎のつくりとなっています。
ケアの方法
歯磨きは丁寧に
短頭種は口腔ケアがしづらいため、歯周病や口のトラブルのリスクが高いといえます。
短頭種は口の中の粘膜も分厚く、歯ブラシがなかなか歯の奥まで届きにくいのですが、とくに歯と歯のすき間がない小臼歯は念入りに磨きましょう。
乳歯残遺に注意
とくに短頭種の小型犬に多くみられるのが乳歯遺残です。
チワワなどの小型犬の歯並びについては、とくに犬歯に注目してください。
乳歯遺残では、犬歯が二重に生えているケースが多く見られます。
永久歯と入れ替わるはずの乳歯が抜けずに残っていると、永久歯の成長を阻害してしまいます。
歯並びが悪いワンちゃんは定期的な診察を
飼い主さんが口の中を詳しく見られない場合が多く、歯磨きなどの手入れにも限界があります。
歯がガタガタで互いが重なり合うように生えている場合は、定期的にかかりつけの動物病院で検査してもらい、必要であれば歯垢や歯石除去をしてもらいましょう。
歯並びの矯正は可能か
乳歯遺残の影響などで咬み合わせが悪くなっている場合は、原因となっている歯を抜くことで咬み合わせを矯正することが可能です。
また、専門の歯科を持つ動物病院であれば歯列矯正も可能です。
ただし、歯列矯正は犬にとって不快感を伴うものです。
生活に大きな支障がないのであれば、歯並びの悪さも愛犬のチャームポイントだと受け入れてあげるのが良いかもしれません。
まとめ
短頭種の犬の体型は元々の姿とはずいぶん違っているため、ケアしなければならないポイントが多いことを知っておきましょう。
今回は口腔ケアについて解説しましたが、そのほかの短頭種の特徴としては、呼吸器系の疾患や眼病が多く見られることがあります。
いろいろ試行錯誤しながら犬種特有の体型的な弱点と上手に付き合っていくことで、愛犬の健康寿命を延ばすことができると思います。