狼(オオカミ)の爪と書いて「ろうそう」と読みます。
どの犬ももっているわけではなく、生まれつきない犬や、生まれてから切除された犬もいます。
狼爪とはなにか
犬の前脚の指は4本だと思われていますが、実は5本あります。
後脚も同様に、指は5本だと思われていますが、6本ある犬もいます。
前脚の狼爪と後脚の狼爪
前肢の狼爪と後肢の狼爪は、どちらも狼爪と呼ばれますが、厳密にいうと同じではありません。
前脚の狼爪・・・前脚の内側にあって他の指より高い位置にある 後脚の狼爪・・・ほかの指に並んで存在する(余剰趾といいます)
前脚の狼爪の役割
長い食べ物をかじるときに、狼爪を器用に使って食べ物を支えることができます。
頭や顔のかゆいところを前肢で掻くときにも狼爪を使っています。
後脚の狼爪の役割
かつて後肢の狼爪は、滑りやすくゴツゴツした岩場を登り降りする際に必要だったといわれていますが、現在ではほとんど実用性はありません。
狼爪がある犬とない犬
前脚にはどの犬にも狼爪がある
前脚の狼爪はすべての犬に生えています。
ちょうど人間の親指のポジションにあると考えれば理解がしやすいでしょう。
もし狼爪が見当たらなければ、犬種標準(スタンダード)に沿って、ブリーダーが生まれてすぐに切除したということです。
一方で、愛犬の後ろの足の狼爪は見つからないという飼い主さんがほとんどだと思います。
後脚の狼爪は元々ないか生まれてすぐに切断される
多くの犬の場合、後脚の狼爪は生まれつきありません。
狼爪が生えなくなった理由は、現代の犬に必要がなくなったからだと考えられています。
しかし、犬種や血統によっては後肢にも狼爪が生えることがあり、先祖がえりなどと呼ばれることもあります。
後肢に狼爪をもって生まれてきた場合には、多くはブリーダーの判断によって動物病院で切除されます。
狼爪を切除する理由は2つある
切除する理由は「ケガ防止」と「犬種のスタンダード」のふたつです。
ケガ防止のため
狼爪には実用性はほとんどないので、爪を何かに引っ掛けてケガをしたり、人間に傷をつけるリスクを減らすために切除されることが多いのです。
JKCの犬種基準(スタンダード)とは
JKC(日本ケネルクラブ)には繁殖指針となる犬種標準があり、この指針のなかに狼爪の切断の規定が設けられています。
JKCの一例を紹介しましょう。
チワワ・・・後脚の狼爪は望ましくない ウェルシュ・コーギー・・・すべての狼爪は切除しなければならない シベリアンハスキー・・・すべての狼爪は切除しなければならない ジャーマンシェパード・・・後脚の狼爪は切除しなければならない
そのほかJKCが定めている犬種のスタンダードにおいては、特定の犬種以外は原則、後脚の狼爪は「存在しないもの」とされています。
もし狼爪が残っていたらどうしたらいい?
狼爪の状態を観察しよう
ブリーダー判断で切除されなかったか、雑種や保健所から譲り受けた子などに後脚の狼爪が残っている可能性は充分あります。
狼爪があるのは異常なことではありません。
ただし、狼爪の位置によっては不安定な状態だったりして、見ていて不安を感じる場合があるかもしれません。
手術で切除することも
後脚の狼爪がどうしても気になるときは、切除すべきかどうか動物病院に相談しましょう。
ただし、全身麻酔になるので、子犬の頃と違って簡単な手術ではありません。
本当に切除が必要かどうか、納得いくまで獣医さんと話し合いましょう。
成犬の前脚の狼爪の場合は、手術の必要はないでしょう。
まとめ
狼爪を残す場合、普段の生活で注意したいのは、狼爪を伸ばしっぱなしにして、ひっかけてケガをさせてしまうことです。
狼爪はほかの爪と違って地面に接することがないため、伸び続けます。
犬の爪はカーブを描いて内側に曲がりながら伸びる性質があるため、放置しておくと足に刺さるほどの酷い巻き爪になります。
狼爪を残す場合は毎月1回をメドに爪切りをしてくださいね。
もし愛犬に狼爪が残っていたら、成犬の場合はできれば無理に切除するのではなく、その子の個性として認めてあげていただきたいと思います。