鉛(なまり)中毒と聞いてもあまりピンとこないかもしれませんが、実は多くの事例があります。
鉛を摂取することで起こる重金属中毒で、胃酸と反応すると毒性が現れます。
鉛中毒はワンちゃんだけでなく、人間でも猫でも起こり得ます。
鉛の毒性はかなり強力です。
海外で起きた10年ほど前の事件ですが、鉛でできたオモチャのアクセサリーを口に含んで中毒死した女児の例があります。
鉛中毒の原因
鉛中毒の原因となる物質には、鉛を含んだ塗料(ペンキや絵具など)、釣りのおもり、ハンダ、バッテリー、鉛管や鉛板、カーテンウェイトなどがあります。
固形の鉛を誤食するだけでなく、固体の鉛や鉛を含んだ液体をなめたり、粉塵や蒸気、噴霧状になった鉛含有物を吸入して鉛中毒になる場合があります。
鉛中毒の症状
鉛中毒は、胃腸症状と神経症状に現れます。
軽度から重度までさまざまな症状がみられますが、急性の場合には貧血を起こすこともあります。
嘔吐や下痢、腹痛が鉛中毒の初期サインで、それを放置しておくと、異物を食べたり挙動がおかしくなるなどの奇行が目立つようになり、失明や痙攣発作を起こして意識が消失し、最終的には死に至ります。
鉛中毒の検査
中毒の有無を判定する場合には、神経学的検査や血液検査、X線や超音波検査のほか、血中鉛濃度測定や尿検査がおこなわれます。
やっかいなことに、鉛中毒は消化器症状や神経症状、食欲不振など、ほかの疾患と見間違われることが多いのです。
若齢犬での鉛中毒の症状は、ジステンパーウイルス感染症と類似していますし、てんかんと思われていた症例が、検査の結果、結局鉛中毒だったという事例もあります。
このように、鉛中毒の判定については全身的な検査が必要であり、上記のほかにも、いくつも検査がおこなわれる場合があります。
鉛中毒の予防
かつて鉛は、顔料や錆止めの役割などで、塗料に使用されてきましたが、鉛を含んだ塗料は人にも健康被害を与える可能性があることから、塗料業界では鉛含有塗料をなくす動きになっています。したがって、現在身近に手に入る塗料には、鉛が入っていないことがほとんどですが、昔使用された塗料には含まれていることが多いです。
ワンちゃんが古い建物から剥がれ落ちた塗料のかけらなどを口にしたりすることのないように、気をつけましょう。
被毛についた塗料をなめて鉛中毒になったという例も報告されています。
ワンちゃんと一緒に釣りやアウトドアに行かれる飼い主さんもいると思いますが、これらのさまざまな道具に鉛が使われている可能性があります。
たとえば山道には鉛製の散弾銃の弾丸が落ちている場合もあります。
家庭においても、古い金属製品やカーテンウェイトなどに鉛が含まれていないかを意識し、ワンちゃんが口にしないように注意しましょう。
まとめ
ペットの鉛中毒は飼い主さんが意識することで避けられます。
身の回りに鉛製品がないかを日ごろから意識しましょう。
重度の鉛中毒では、治療を行っても死亡する場合もあるので、早期発見・早期治療が大切です。
愛犬の異常な様子が見られたら、すぐに動物病院に連れて行きましょう。