ワンちゃんは生後半年になる前くらいから歯の生えかわりが始まり、1歳までには永久歯が生え揃います。
ところがうまく乳歯が抜けずに残ってしまうことがあり、これを乳歯遺残といいます。
乳歯が残っていると歯並びが悪くなったり、永久歯と乳歯の間に汚れが溜まって口腔内の健康に悪影響を及ぼします。
1歳を過ぎても乳歯が残っているようなら抜歯をする必要があります。
乳歯遺残の多い犬種
乳歯遺残はトイプードルやチワワ、ダックスなどの小型犬に非常に症例が多いです。
ワンちゃんが小型化されたことで、遺伝性の影響や顎の狭さを原因とするいろいろな弊害が出ていますが、乳歯遺残もその弊害のひとつです。
個体差はありますが、チワワの場合で生後5~10か月で乳歯から永久歯に生え変わりますが、乳歯がそのまま残っていると、永久歯の発育を阻害してしまいます。
乳歯遺残の症状
乳歯遺残が発生しやすい部位
乳歯遺残がもっとも多い部位は上下の犬歯です。犬歯は歯根が深いためです。
乳歯が抜けすに折れてしまうケースがあり、歯根に細菌が感染して腐ってしまうと、治療は非常にやっかいです。
歯並びが悪くなる
乳歯の裏に生えるせいで、永久歯は外側に向かって生えることができず、内側に向かって生えます。
そのため、永久歯が上の歯茎に突き刺さり、口が閉じられなくなったり、上顎や歯茎、くちびるに歯が刺さることもあります。
歯垢や歯石がつきやすくなる
永久歯と乳歯の谷間に汚れがたまりやすくなります。
歯石を放置して歯周病が広がると、顎全体が深刻な状態になる可能性もあります。
乳歯遺残の治療
治療の実態
乳歯遺残を発見した場合は、避妊や去勢手術の際に一緒に抜いてしまった方がよいのですが、放っておくとどんどん歯並びが悪くなり歯周病が進行してしまいます。
治療のためには乳歯を抜歯することになりますが、その際には全身麻酔をかけて抜かなければなりません。
治療費について
施術前の診断や麻酔による手術で、治療費は平均5万円程度になります。
抜歯は病気として認定されないケースがあり、ペット保険の適用外になり100%自己負担になる場合が多いようなので、保険の加入時に確認しておいた方がいいでしょう。
乳歯遺残の対策
乳歯が生え変わる生後5カ月以降には硬めのおもちゃを与えるなどして、自然に乳歯が抜けやすい環境をつくりましょう。
乳歯が残っているかどうかは、パッと見ではわかりにくいかもしれませんが、犬歯については比較的わかりやすいです。
上顎の犬歯は永久歯の後に乳歯が残り、下顎は永久歯の外側に乳歯が残ります。
犬歯が2本並んだ状態になっている場合は乳歯遺残だと考えられます。
また、乳歯は永久歯と比べて細いので、注意して観察すればなんとなくわかります。
乳歯は上下14本ずつの28本、永久歯は上が20本で下が22本の合計42本です。
乳歯遺残は、永久歯が生えそろう前にとにかく早めに抜くのがポイントです。
生後半年に近づいたら、こまめに口の中、特に下の犬歯を注意して観察して下さい。