発汗による体温調整ができない犬にとって、被毛は体温調整の機能を担う大切な機能です。
夏の暑さや冬の寒さに対応するために、春と秋に被毛が大きく生え変わる換毛期がやってきます。
暖かくなる春には保温性が高くふわふわした冬毛が抜け落ち、荒い毛質の夏毛へ生え変わり、これから寒くなる秋には夏毛が抜け落ち、冬毛へと生え変わります。
抜け毛が多い犬種、少ない犬種
犬の被毛は「ダブルコート」と「シングルコート」の2種類に分類され、換毛期の抜け毛の量は、その犬種のもつ被毛の特徴によって異なります。
●ダブルコート⇒オーバーコートとアンダーコートの二重構造 ●シングルコート⇒オーバーコートだけの一重構造
抜け毛が多い犬種
ダブルコートの犬種には、換毛期に抜け毛が多くみられる傾向があります。
【代表的なダブルコートの犬種】 柴犬、秋田犬、ポメラニアン、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー シベリアンハスキー、ミニチュアシュナウザー、ダックスフント、チワワ、パグ フレンチブルドッグ、ジャックラッセルテリア、ボーダーコリー
抜け毛が少ない犬種
ダブルコートの犬に比べてシングルコートの犬は毛量が少なく、したがって抜け毛が少ない傾向があります。
【代表的なシングルコートの犬種】 プードル、シーズー、マルチーズ、パピヨン、ヨークシャーテリア、ビションフリーゼ ミニチュアピンシャー、グレーハウンド、グレートデーン
とくに抜け毛が気になる犬種
この犬種に限りませんが、とくに抜け毛が多いという指摘がされている2つの犬種を紹介します。
柴犬などの日本犬
柴犬や秋田犬など日本生まれの犬種は、四季を通して気温の変化が激しい日本の風土で生まれ育ちました。
真夏や真冬の山岳地帯で猟犬として活躍するために、気温の変化に対応するように被毛が二重構造になっています。
とくに、ふわふわとボリュームのあるアンダーコートが抜け落ちる春の換毛期には、室内のそこら中が毛だらけになるという話をよく聞きます。
ポメラニアン
ポメラニアンの祖先はバルト海に面するドイツとポーランドの国境地域で生まれた犬種です。
寒い地域で牧羊犬やそりをひくために使役されていたため、ポメラニアンは寒さに耐えられるように厚い被毛をまとっています。
ふわふわでまるまるとした愛らしい姿からショードッグとしての需要もあり、その特徴的な被毛を改良したことにより、とくに換毛期には抜け毛が多い犬種として知られています。
換毛期のケアの注意点
換毛期の犬は、毛が抜け変わる際にかゆみが生じる場合があるようです。
皮膚だけでなく、体調にも異常が現れる場合もあるので注意したいところです。
ブラッシングの仕方に注意
換毛期には炎症や湿疹といった皮膚トラブルが見られることがあります。
異常な量の抜け毛や部分的な脱毛が見られる場合は、毛包症と呼ばれる病気の可能性があるので注意しましょう。
普段よりもブラッシングの頻度も増えるので、ブラッシングの力が強過ぎたり、回数が多過ぎて皮膚を傷つけてしまわないように気をつけたいところです。
ホルモンバランスの乱れに注目
気温の変化を感じとって換毛期がやってくるわけですが、この時期はホルモンバランスが乱れがちになります。
ホルモンバランスが崩れると刺激に対して敏感になり、気分の落ち込みや食欲の変化が見られる場合があります。
また、免疫力の低下によって体調を崩しやすくなることもあります。
まとめ
換毛期は季節の変わり目にやってきます。
この時期は人間もなにかと体調を崩しがちになるように、犬にとっても身体に負担がかかり、免疫力が低下して体調を崩してしまいがちです。
食欲が落ちたり、消化不良にならないように、栄養バランスのとれた質の良い食事をしっかり摂らせてあげてください。