丸顔でコロンとした体型が特徴的なシーズーは、穏やかで友好的な性質のため、初めて犬を飼う人にとっても飼育しやすい犬種といえるでしょう。
本来は長くストレートな被毛が特徴的ですが、最近では毛を短くカットされている子も増えてきましたね。
シーズーの歴史
シーズーの祖先を探ると、チベット地方で飼育されていたラサ・アプソに行きつきます。
チベットの僧院で飼育されていたラサ・アプソは幸運を招き寄せる魔除けの犬と称され、近隣諸国への貢ぎ物としてオスのみが献上されていました。
一方、チベットから中国王朝に寄贈されたチベタン・スパニエルを中国王宮内で繁殖させて8世紀ごろに誕生したのがペキニーズです。
シーズーはラサ・アプソとペキニーズとの掛け合わせで誕生し、数百年前から中国の王朝で飼育されてきました。
シーズーの性格
シーズーは遊び好きで活発な顔と、穏やかで落ち着いた顔の両面を持ち、人やほかの犬にも友好的です。
愛情深く、おおらかで神経質な個体は少ないため、子どもとの付き合い方も上手です。
家族に対して非常によく気遣いをし、様子を見て接するなど、思慮深い面があります。
好奇心が旺盛なので、来客にも抵抗なく興味を示します。
シーズーはやや保守的でプライドの高い面があるので、家族以外の人や犬に会わせずに飼育していると排他的に育ち、番犬のような振る舞いをしてしまうことがあるので注意が必要です。
シーズーに非常に多い病気
シーズーの寿命は平均15歳といわれていますが、飼育環境や遺伝などによってはさらに長生きします。最近では20歳のシーズーも珍しくありません。
大変丈夫なワンちゃんですが、犬種特有の疾患には注意が必要です。
気管虚脱
喉の器官が狭くなるなど変形してしまう病気です。乾いた咳をする、苦しそうに呼吸をするなどの症状が見られたら気管虚脱かもしれません。
主にシーズーを含む短頭種が発症しやすい傾向にあり、肥満が大きな原因のひとつです。
気管虚脱にかかってしまった場合は、軽度であれば咳止めや器官を広げる薬を飲ませることで症状を緩和することが可能ですが、重度になると手術が必要です。
角膜炎
目の中に入った異物が原因で角膜に炎症を起こす状態で、原因としては被毛やほこり、細菌やウィルス、アレルギーなどがあります。白目が赤くなったり、涙や目やにが多くなる、痒くて目を頻繁に触るといった症状に注意しましょう。
長毛犬種のシーズーは、被毛の伸びがとても速いので、目の周りをマメにカットして予防します。また、刺激性の強いシャンプー剤などを使用しないようにしましょう。
シーズーのように短頭種の犬種の場合は、呼吸が上手にできないことがあり、呼吸するときにゼイゼイと音を鳴らしたり、いびきがひどかったりする場合などは要注意です。
そのほかの目の病気
老犬になると白内障を患うワンちゃんが多くなり、水晶体が濁ることによって視界がぼやけて見えづらくなってきます。
散歩中や室内でつまずいたりぶつけたりする場面を多く見るように感じたら、白内障を疑ってみることも大切です。
シーズーは目が飛び出ているため、異所性睫毛(逆さまつげ)やケガによる網膜剥離、乾性角結膜炎(ドライアイ)などの目の病気になりやすい傾向があります。
眼病にかかりやすい犬種であることをふまえて、定期健診を受けるなどして早期発見することが肝心です。
短頭種気道症候群
鼻の穴が狭いため呼吸が難しく、口を開けたまま呼吸する回数が多くなる「鼻腔狭窄」、口の奥にある軟口蓋が伸びると、いびきをかきやすく重症化すると呼吸不全を招く「軟口蓋過長」、気管の軟骨や気管周辺の筋肉が弱くなり気管が潰れて呼吸不全を招く「気管虚脱」といった呼吸に関わる症状を総称して「短頭種気道症候群」といいます。
気道が細いために日頃からイビキや呼吸音が大きい犬種ですが、運動後などにゼイゼイという呼吸音が増えてきたと感じた場合は、ぜひ動物病院を受診してください。
まとめ
シーズーは外見の美しさや愛らしさに加え、飼育面でも心配の少ない犬種です。その穏やかな気質と友好的な性格が、古くから愛玩犬として人気がある理由でしょう。
この犬種についても、寿命が長くなったことの反動で人間と同じように癌や心臓病、糖尿病などの病気が多く発症するようになりました。
愛犬の健康寿命をキープするためには、肥満は万病の元と理解して適正な体重をキープするように心がけましょう。