人間は全身に汗腺があり、汗をかくことで体温調整をおこないますが、汗腺が肉球や鼻にしかなく、全身が毛で覆われているワンちゃんは暑さに弱く、体温調整が苦手です。
ワンちゃんはハアハアと舌を出して呼吸をし、体内の熱を発散させようとしますが、暑い季節は涼しい空気を取り込むことが難しいため、夏バテを引き起こすことがあります。
夏バテになると、食欲がない、散歩を嫌がる、下痢や嘔吐といった症状がみられることがあります。
夏バテの症状
軽症の場合
夏バテは屋外だけでなく、室内にいても起こります。
床に寝そべったまま動かない時間が増えたり、おもちゃなどでも遊ばなくなり、飼い主さんが呼び掛けてもなかなか動こうとしません。
大好きなフードやおやつを見ても喜ばなくなり、睡眠時間が長くなる傾向もあります。
重症になると
体調をくずして下痢や嘔吐を繰り返し、脱水症状を引き起こすことがあります。
目や口の周りが乾いていたり、おしっこの回数が減っている場合は注意してください。
首の後ろの皮膚を軽くつまみあげて脱水症状をチェックする方法もあります。
皮膚が元に戻るのに時間がかかったり、つまんだ形のまま戻らない場合は、脱水状態の可能性があります。
夏バテの対処法
夏バテの症状がみえても対処せずに放置してしまうと、さらに症状が悪化してしまうかもしれません。
もっとも重要なのは水分補給です。
ワンちゃんにはいつでも新鮮な水が飲めるように準備をしておいてください。
室内はエアコンで適温を保ちましょう。
ワンちゃんが寒がったり、暑がったりしていないかを観察して、それぞれに合った温度調整をおこなってください。
またブラッシングもこまめにして抜け毛や毛玉を取ってあげると通気性がよくなります。
食欲がない場合は、ドライフードをふやかして与えたり、犬用のふりかけなどを加えて、食欲を引き出す工夫をしてください。
夏バテ以外の可能性もある
貧血の可能性
夏バテで元気がないと思っていたら、実は貧血だったということがあります。
貧血になると体内に酸素が行きわたらなくなって食欲が落ちたり、元気がなくなったり、疲れやすくなります。
あるいは舌が白っぽくなる、手足が冷たいという症状がみられることもあります。
貧血の原因は、栄養不良や出血など原因は様々ですが、多数のノミに寄生されて貧血を引き起こすこともあります。
熱中症の可能性
徐々に体力が低下する夏バテと比べて、熱中症は急に症状が現われます。
必ずしも日中の炎天下で起こるとは限らず、室内でも熱中症が起こる可能性があるので、室内の温度調整には充分注意してください。
熱中症の場合は、夏バテの症状以外に、歯茎や肉球が白っぽくなったり、舌の色が薄くなる、または紫色(チアノーゼ)になるなどの症状が現れます。
ひどい場合は痙攣をおこすこともあります。
熱中症は迅速な応急処置が大切です。
涼しい場所へ移動して、狩野であれば水分補給をさせて休憩をとりましょう。
保冷材や濡らしたタオルで、脇の下や首、足の付け根などを冷やすと効率的に体温を下げることができます。
応急処置のあとは、急いで動物病院へ連れて行きましょう。