犬の歯は丈夫と思われがちですが、意外と折れやすいものです。
硬いオモチャやおやつを噛ませているうちに、愛犬の大事な歯を折ってしまうかもしれません。
歯の破折とは
歯の破折(はせつ)とは、外的な力が加わって歯が折れたり欠けたりすることです。
犬は噛む力が強いので歯も丈夫な気がしますが、犬の歯のエナメル質は人間よりも薄く、大型犬でも人の約3/5~4/5の厚さしかありません。
したがって、なにか硬いものを噛んだ拍子に簡単に折れてしまうことがあります。
破折の多くは歯冠部で起こりますが、外からは見えない歯根部で発生することもあります。
破折はどの歯でも可能性がありますが、とくに上顎の奥の臼歯と犬歯で起こることが多いです。
破折は飼い主さんの不注意や無知が原因
破折は牛骨や犬ガム、硬いオモチャ、ケージなどを噛んで起こるケースが多いようです。
そのほかには、交通事故や落下事故などによる衝撃も破折の原因になります。
なにより、「犬の歯は硬い」という飼い主さんの思い込みが破折を招いてしまいます。
破折は気づくことが難しい
愛犬の歯が折れていることに気がつかないことが多々あるようです。
歯髄に損傷がなければ痛みを感じませんが、歯髄が損傷したり露出していると、出血があったり、食事やおやつを食べる際に痛がる様子が見られます。
また、歯磨きの嫌がり方が異常だったので口内をのぞいてみたら歯から出血があり、偶然破折を発見したという話も聞きます。
破折を放置しておくとどんどん悪化する
破折した部位には歯石が沈着しやすく、歯周炎を起こすリスクが大きくなります。
歯髄が露出した部分には感染が起こりやすく、歯根部全体まで炎症が広がってしまいます。
露髄
歯髄が露出することを露髄といいます。
露髄した部分には細菌感染が起こりやすく、歯根部まで感染が広がり炎症を起こすケースが見られるようになります。
根尖膿瘍
重度になると、根尖膿瘍(こんせんのうよう)といって歯根や周辺が化膿して膿の袋が形成される状態になります。
歯根周辺の骨が溶けて、溜まった膿が皮膚を突き破り、目の下などに穴を開けてしまうこともあるそうです。
破折の治療と予防方法
破折の治療方法
一般的に破折の治療法としては抜歯が選択されることが多いです。
しかし、歯冠部の破折のみで周囲組織の損傷が少ない場合は、歯を抜かずに残す治療がおこなわれるケースもあるようです。
歯内治療を実施していない動物病院もあります。
かかりつけの動物病院で歯内治療を受け付けていない場合は、歯科治療専門の動物病院を紹介してもらうといいでしょう。
破折の予防方法
歯は一度損傷してしまうと再生することができません。
具体的には以下のような点に注意して、日頃から破折を起こさないように注意しましょう。
●硬すぎるオモチャは与えない ●噛むタイプのおやつ(骨やガムなど)は時間を決めて与える ●衝突や落下などの事故に気をつける
まとめ
抜歯後は、硬いオモチャやおやつは与えていけません。
犬は硬いものを噛むことが大好きなので、硬いものを禁止されるとストレスを溜めてしまう場合もありますが、硬いものの代わりにゴム製のおもちゃを与えたり、ボール遊びをしてあげるとストレス解消ができるでしょう。
できればこうなる前に、歯周病や虫歯だけではなく、歯の破折にも日頃から気をつけてあげてください。
もし破折しても、軽度であれば早期治療で歯を温存することが可能なケースもあります。