イングリッシュセッターの多くは実猟犬として飼われていますが、最近では家庭犬やショードッグとしても人気を集めています。
脚力に優れ、大股でゆったりと歩く姿は大変優雅ですが、走るスピードは速いです。
イングリッシュセッターの歴史
イングリッシュセッターはセッター種の中で最も古い歴史をもつ犬種です。
14世紀にスペインからイギリスに持ち込まれたスパニエルが起源で、当初から猟犬として活躍してきました。
セッターとは、「獲物を前にしてしゃがみこむ(セッティング)」という意味です。
イングリッシュセッターの名が付いたのは19世紀のことで、現在もたくさんのイングリッシュセッターが現役の猟犬として働いています。
イングリッシュセッターの性格
穏やかで優しい性格で、知らない人や他の犬たちとも仲よくできます。
寂しがり屋で甘えん坊な一面があり、飼い主さんとの共同作業を好みます。
賢く、服従心も強いのですが、長時間の留守番は苦手です。
マイペースで気ままなところがあり、しつけは難しい傾向があります。
イングリッシュセッターに非常に多い病気
大型犬によくみられる股関節形成不全や肘関節形成不全、胃捻転のほか、遺伝性の難聴が多いのもこの犬種の特徴です。
股関節形成不全
幼齢期に過剰な栄養を与えると股関節形成不全を発症させる原因になります。
発症すると、横座りをする、腰をふるように歩く、ウサギ跳びのように後ろ足を一緒に動かして走るといった症状が見られます。
治療は内科治療と外科治療があります。
内科治療では鎮痛剤やレーザー療法などによる痛みの管理と並行して、体重管理をおこないます。
重症のケースや内科的治療によって改善がみられない場合は、外科治療を選択します。
予防のためには、幼齢期からの対策が重要です。
肥満防止とともに、適切な運動で股関節を支える筋肉を強化しましょう。
肘関節形成不全
肘関節形成不全は、肘関節の発育不全によって前肢に痛みが生じる病気です。
大型犬に多く見られ、遺伝的要因が高いといわれていますが、肥満も関与します。
軽症の場合は、鎮痛剤や軟骨保護剤などの投与による内科療法と併せて、運動制限や体重のコントロールが主な治療です。
内科治療でコントロールできない場合は外科手術を選択します。
肘関節形成不全の予防のためには成長期に過度な運動をさせないことが重要です。
また、成長期のカルシウムの過剰摂取や体重オーバーもリスクを高めます。
胃捻転
胃捻転とは、胃が捻じれてゲップができない状態をいいます。
致死的な不整脈や、胃壁や脾臓の壊死が起こることもあります。
発見が遅れるとショック状態から死に至る緊急疾患です。
ガツガツ食べる、水をガブ飲みする、食べてすぐに遊ぶことなどにより、空気を胃に飲み込んでしまうことで胃捻転が起こります。
この病気は、夜間や早朝に起きる傾向があります。
吐きたくても吐けない様子や、よだれが出るなどの症状が現れたときは、迷わずすぐに病院に行きましょう。
対応は緊急を要します。
食事の後すぐに運動させないことや、早食いをさせない工夫をすることが予防として有効です。
この病気は再発率が高いことも知っておきましょう。
先天性難聴
イングリッシュセッターは遺伝的に先天性難聴が起きやすい犬種です。
猟銃の音にも動じないことが求められるため、耳の聞こえが悪いことに気づかれず、その系統の繁殖が続いてきたという背景もあるようです。
賢く観察力のある犬なので、難聴があっても家庭犬として幸福な生活を送ることは可能です。
まとめ
猟犬として野山を駆け回っていたイングリッシュセッターは、旺盛な運動欲求があります。
毎日朝夕に少なくとも1時間程度の散歩をしてあげてください。
有り余るエネルギーを発散させることで、穏やかで従順な長所を引き出すことができます。
充分な運動をさせないとストレスが溜まり、攻撃的な行動に繋がる可能性もあります。
したがって、一緒にトレーニングをする体力がない方には不向きな犬種です。
被毛は長く絡みやすいので、ブラッシングは毎日しましょう。
イングリッシュセッターは、多頭飼育をしたい方や、アウトドアを愛犬と一緒に楽しみたい方にはピッタリの犬種です。