ジャーマンシェパードはオオカミを思わせる筋肉質でがっしりした体型と、忠誠心や理解能力をもち、「万能使役犬」といわれています。
外見のイメージから「怖そう」「攻撃的」と思われがちですが、信頼している家族に対しては愛情表現がとても豊かで甘えん坊な一面もあります。
ジャーマンシェパードの歴史
19世紀末頃、ドイツ各地の農家で飼育されていた牧羊犬を改良し、軍用犬として誕生したのがジャーマンシェパードです。
「シェパード」とは「羊飼い」の意味です。
第一次大戦中には戦場における伝令役として活躍し、大戦後は数が激減してしまいますが、その後、アメリカのドラマや映画などで紹介されると人気が上がりました。
1920年代に映画で活躍したリンティンティンは、その当時財政難にあったワーナーブラザーズを救った立役者となりました。
現在ジャーマンシェパードはその万能性を買われて、警察犬や盲導犬、麻薬探知犬、災害救助犬として多方面で活躍しています。
ジャーマンシェパードの性格
警戒心が強く活発で、大胆不敵な性格です。
洞察力と忍耐力に優れ、指示を忠実に守ることを得意としています。
家族に対しては愛情深く、ほかの犬に対しても比較的友好的です。
ただし、序列意識が強く、頑固な一面もあるので、飼い主さんが確固たる態度で自信を持ってしつけをする必要があります。
ジャーマンシェパードに非常に多い病気
胃捻転
大型の犬種に多く見られる病気です。
胃が拡張してねじれを起こすことで発生します。
胃や周囲の血流が遮断されて急激なショック状態に陥り、突然死することもある緊急性の高い病気です。
一気食いや水のがぶ飲みと、その直後の運動による胃拡張が主な原因です。
散歩や運動の直後や早朝に発生することが多く、急激にぐったりとし、嘔吐をしたくても吐けない状態になり、多量のよだれを流します。
その後、呼吸困難や脈圧が低下するなどのショック症状を起こすと、治療は一刻を争います。
胃捻転を予防するためには普段の食生活に注意しましょう。
フードの与えすぎのほか、食後すぐの運動をさせないように注意しましょう。
股関節形成不全
関節軟骨の変化による進行性の関節疾患です。
そのほとんどは加齢に伴って発生する原発性変形性関節症です。
この病気を完治させる治療法はなく、消炎鎮痛剤の投与やレーザー療法などによる痛みの管理が主な治療となります。
肥満は変形性関節症を悪化させるので、体重オーバーにならないように日頃から体重管理を心がけましょう。
膵液分泌不全
自分の免疫機能が膵臓を破壊してしまう病気で、特定の犬種(ジャーマン・シェパード、ラフ・コリー)に遺伝性が疑われます。
食欲旺盛なのに痩せている、下痢を繰り返す、異常なものを食べたがるなどの症状があります。
決定的な予防法はなく、症状を緩和するための内科療法とビタミンB12の投与がおこなわれます。
外耳炎
外耳の皮膚に炎症が起こる病気です。
垂れ耳の犬種に多く見られ、治療が遅れると慢性化するので注意が必要です。
普段から耳を清潔に保つことで予防が可能ですが、間違った方法で耳掃除をすると、キズがついて、外耳炎を引き起こす原因になる場合もあります。
まとめ
ジャーマンシェパードの飼育は運動時間を確保できる人に向いています。
散歩の際に引っ張られて転倒する危険があるので、犬を制御できる体力が求められます。
ジャーマンシェパードは理解力や洞察力に優れ、達成意欲が高い犬種です。
教えればなんでもこなすので、日常的な指示やしつけはもちろん、犬が喜ぶのであれば、各種競技への参加もおススメです。
寒さに強く夏の暑さが苦手なので、夏場の気温と湿度に気をつけて涼しく過ごさせるようにしましょう。
また、換毛期には大量の抜け毛が飛び散るため、対策が必須です。