ラブラドールレトリバー(以下ラブラドール)はカナダで見出されてイギリスで発展した大型の鳥猟犬です。
非常に温厚で頭が良く、誰とでも仲良くなれる才能があります。日本でもラブの愛称で広く親しまれ、盲導犬にも採用されています。
ラブラドールレトリーバーの歴史
16世紀にイングランドからニューファンドランド島へ入植した人々が持ち込んだ使役犬と、現地のニューファンドランド犬との交配種であるセント・ジョーンズ・レトリバーがラブラドールの先祖です。
漁師の手助けをするなど水中作業犬として活躍していたセント・ジョーンズ・レトリバーは、イングランドのマルムズベリー伯爵によってイングランドへ輸入され、改良が行われて現在のラブラドールの基礎となりました。
ラブラドールレトリーバーの性格
ラブラドールは穏やかで攻撃性が少なく、知性と順応力が高い犬種です。
服従性の高さと判断力の両方を併せ持ち、状況をよく見て判断できる知的レベルがあります。
家族には愛情深く優しく社交的な性格で、他人やほかの動物にも友好的です。
したがって番犬としては不向きです。
ラブラドールは時にひょうきんな行動を見せることがあります。
個体差がありますが、2歳くらいまでは悪戯の限りを尽くします。ソファや家具をボロボロにされたという話もよく耳にしますから、室内で留守番させる時はケージに入れておいた方が安全です。
ラブラドールレトリーバーに非常に多い病気
大型犬ブームの頃に安易な交配が横行して、健康や性格に問題のある犬が多く輩出されましたが、現在はブームも沈静化して状況はかなり改善されてきました。
ラブラドールには股関節形成不全が多く見られましたが、最近は少なくなったようです。
子犬の繁殖や販売に「動物取扱業」の登録が必要になったことも、安易なブリーディングの抑制に寄与していると思いますが、それもなお、気をつけておきたい病気がいくつかあります。
外耳炎
垂れ耳のラブラドールは蒸れやすく外耳炎を発症することがあります。
マセラチア真菌やブドウ球菌、ダニや皮膚アレルギーなどが原因で炎症を起こし、痒みや痛みが出て、しきりに頭を振ったり耳かき動作をするようになります。
梅雨時などは特に注意して見てあげましょう。
関節炎
ラブラドールは大食漢で太りやすいため、関節炎を発症しやすいといわれています。
ディスク競技などの激しい運動で発症する場合もありますので注意してください。
定期的に動物病院で股関節や膝蓋骨の状態をレントゲンで調べてもらうといいでしょう。
胃捻転
食後の激しい運動や遺伝的な要素が原因で発症することが多く、発見が遅れると命にかかわるケースもあります。
腹部の異常な膨満や吐こうとしているのに吐けない、よだれを垂れ流す、呼吸が早いなどの症状が認められた場合は胃捻転を疑ってください。
胃捻転の治療は時間との勝負になります。
近くに夜間の緊急手術をしてくれる病院があるか、事前に調べておきましょう。
胃捻転は胃を腹壁に固定する手術によって予防や再発防止が可能で、手術で助かった犬のほとんどは、この処置を施されています。
股関節形成不全
股関節が変形して後ろ足が立たなくなることもある病気です。
歩行時に腰が左右に揺れたり走行時に後ろの両足をそろえてうさぎ跳びのような格好をするというような姿勢の異常がみられます。
遺伝性疾患の比率が高い病気ですが、生育環境が原因である場合もあります。
これは発育期における過度の体重増加によって股関節の骨や軟組織に負担がかかり、股関節が充分に発達しないことが原因です。
軽度の股関節形成不全であれば、体重コントロールのほか抗炎症剤などが処方されますが、重症の場合は骨盤の一部や大腿骨頭を除去する手術がおこなわれます。
眼瞼内反症
先天的なものがほとんどですが、外傷やほかの病気が原因のこともあります。
まつ毛が内側に巻き込んだ状態で目を刺激する症状があり、軽度であれば刺激するまつ毛を抜くと症状は落ち着きます。
あるいは犬の成長に伴って何度か手術をおこなう場合もあります。
まとめ
ラブラドールは留守番が苦手です。
留守がちな家庭では破壊活動で気を紛らわすようになり、無気力になって精神を病んでしまう場合もあります。
また食いしん坊で肥満になりやすい犬種ですから、関節を痛めたり糖尿病を発症することのないように給餌量にも注意しましょう。
関節に弱点がありますから、定期的に動物病院で検査してもらうことをおススメします。