招き猫は開運招福や商売繁盛をもたらす縁起のいい置物として、日本人に親しまれています。
ユニークで愛らしい姿で、最近では外国からの人気も高まっていますよね。
招き猫発祥の地(諸説あり)といわれているのが、東京・世田谷区にある豪徳寺なんです。
豪徳寺の来歴
1480年(文明12年)、世田谷城主・吉良政忠が伯母の弘徳院のために建てた寺院がその始まりといわれています。
当初は臨済宗でしたが、のちに曹洞宗になりました。
1633年(寛永10年)に彦根藩二代藩主・井伊直孝が伽藍を整備し、井伊氏の菩提寺としました。
境内の一画は井伊家の墓所となっていて、滋賀県彦根市にある清涼寺、東近江市にある永源寺とともに、井伊家墓所として国の史跡に指定されています。
招き猫の由来
井伊直孝ら一行が、鷹狩りの帰りに豪徳寺のそばを通りがかった際に、門前の白いねこがしきりに手招きをするので、不審に思って馬を止め、寺に休息を願い出ました。
寺の和尚が渋茶を振る舞いもてなしているうちに、みるみる空が暗くなり、雷鳴が鳴り響き、轟音とともに近くに雷が落ちました。
境内で和尚の説法を聞いていた直孝は、命拾いに感謝して、以来豪徳寺に帰依し、井伊家の菩提寺としたと伝えられています。
豪徳寺は、直孝を落雷から救った白いねこを「招福猫児(まねぎねこ)」として祀りました。
そして、その姿を模した招き猫の置物が作られるようになり、家内安全、商売繁盛の縁起物として、広く世に浸透していきました。
ひこにゃんとの機縁
滋賀県彦根市のゆるキャラで、彦根城のマスコットとして知られる大人気の「ひこにゃん」は、豪徳寺の招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(武具を朱塗りにした部隊)の赤兜を合体させて生まれたキャラクターです。
豪徳寺の招き猫の特徴
招き猫は寺務所で販売されています。
ミニサイズのものから30cmほどのビッグサイズまで、さまざまなサイズがあります。
通常、招き猫は小判を持っているのですが、豪徳寺のねこは持っていません。
これは、「招き猫は福を得るチャンスは与えてくれるが、福そのものを与えるわけではなく、チャンスを生かせるかどうかは本人次第」という考え方からだそうです。
招猫殿の見どころ
本堂正面左側に「招猫堂」と呼ばれる招福猫児を祀った小さなお堂があります。
「招猫殿」の横にある奉納所は、招き猫に願を掛けて家に持ち帰った人たちが、願いが成就したのちに返納しにくる場所です。
このように大小様々な沢山の招き猫が奉納されています。
かなり衝撃的で壮観な眺めですね。
まとめ
招き猫に出会えるのは境内だけではありません。
寺の周辺にある売店では、招き猫をモチーフにしたユニークな商品を見つけることができます。
豪徳寺の周辺では、毎年5月に豪徳寺商店街で「たまにゃん祭り」がおこなわれています。
また、近所に沖縄県の学生寮「沖英寮」がある縁で、毎年秋に「あきさみよ豪徳寺沖縄祭り」という沖縄の祭りもおこなわれています。
豪徳寺へのアクセスは、小田急線「豪徳寺駅」から徒歩約10分、東急世田谷線「宮の坂駅」から徒歩で約5分です。
機会があれば一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。