マルチーズは日本でも人気のある犬種です。
快活で元気、成犬になっても3kgほどのサイズで扱いやすいことや、抜け毛が少ない点などから、非常に飼育やすい犬種だといえます。
マルチーズの飼い方で難しい点があるとすれば、純白の美しい被毛をキープすることでしょう。
本来はフルコートの美しい被毛が特徴のワンちゃんですが、最近は被毛を短くカットするのが主流です。
したがって、この点でも扱いやすくなっているのではないでしょうか。
マルチーズには定期的なトリミングが必要です。顔まわりに毛がかかると、汚れたり目に入ったりするので、リボンなどでまとめてあげましょう。
マルチーズの歴史
マルチーズは世界最古の愛玩犬といわれています。
紀元前1500年頃に、現在のレバノンに都市国家を築いていたフェニキア人が海洋貿易の中継地点であった地中海のマルタ島に小型犬を持ち込みました。
この犬には島の名前からマルチーズという名前がつけられ、中東の船員がヨーロッパ各国にもたらし、15世紀にはフランスやイギリスの貴族階級の愛玩犬になりました。
日本に入ってきたのは1960年頃のことです。
マルチーズの性格
マルチーズは快活で性格は朗らかです。その一方で神経質で気の強い面があり、ときに大きな犬に向かっていくなど大胆な行動をすることがあります。
家族への愛情は深いのですが、他人を受けつけないことも多く、よく吠えるので小型犬ながら番犬に向いています。
マルチーズに非常に多い病気
眼瞼内反症
犬の遺伝病には毛色との関係が深く、マルチーズのように全身が白色の犬には目の異常が多いといわれています。
典型的な疾患に眼瞼内反症があります。
瞼の靭帯が引っ張られたり逆にゆるんだりすることで瞼の位置が不安定になり、内側にめくれた瞼やまつ毛が角膜を刺激して角膜炎を引き起こします。
眼瞼内反症は先天性の場合がほとんどなので予防は困難です。
点眼薬と刺激の元になるまつ毛の除去が治療の中心ですが、重度であれば外科的手術で瞼を矯正します。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は老齢の小型犬に多く発生する心臓病で、心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流することで発症します。
マルチーズは7~8割が発症するとされ、他犬種に比べて症例が多いことが知られています。
心臓の不調により、運動のあとや興奮した際に咳が出たり、ときに呼吸呼吸困難の症状が現れることがあります。
完治する病気ではないので、投薬により症状を抑える対処治療が中心になります。
膝蓋骨脱臼
膝の皿が脱臼する病気です。遺伝的な要因があるといわれていて、小型犬全般に発症しやすく、滑る床での生活や高いところから飛び降りたりすると発症リスクが高まります。
治療は内服薬や半導体レーザー治療による内科的治療のほか、「骨組織の再建」と「軟部組織の再建」の2種類の外科手術があります。
動物病院では、治療のほか体への負担を軽減するための体重コントロールが推奨されます。
外耳炎
垂れ耳の犬種には外耳炎が発症しやすくなります。
慢性化や再発を繰り返すことが多いので、早期治療に努めましょう。
甲状腺腫瘍
腫瘍の多くは悪性腫瘍で、マルチーズのほか、ビーグル、シェルティ、ゴールデンレトリバーなどが発症しやすいといわれています。
初期症状はなく、腫瘍が大きくなってから飼い主さんが気づくことが多いようです。
可能であれば手術を選択しますが、腫瘍が周囲の組織と癒着している場合や転移がある場合は、予後は厳しいとされています。
流涙症
内眼角からあふれた涙が周囲の被毛に反応して赤褐色に変色する状態になる、いわゆる涙やけの症状です。
マルチーズのほか、プードルやポメラニアン、シーズーなど白い毛色の犬種に多くみられます。
日々のケアのほか、動物病院で角膜炎や定鼻涙管の詰まりをチェックし、定期的に鼻涙管洗浄をおこなうと症状が改善するといわれています。
ドッグフードやサプリメントで改善する場合もありますので、試してみるのもいいでしょう。
まとめ
マルチーズはとても小型で可愛らしい分、体つきが華奢で骨も大変細いのです。
そのため、ちょっとした段差から飛び降りたり、滑りやすい床で転んだだけでも骨折する危険があります。
家庭内ではフローリングにカーペットを敷くなどの対策をして事故を予防しましょう。