スコティッシュフォールドといえば、折れ耳で丸顔が特徴の猫種です。
折れ耳は他の猫種には見ない特徴ですが、これは耳の形を作っている軟骨の形成異常が原因です。
この形成異常を骨軟骨異形成症といい、スコティッシュの関節に多発する病気の原因になっています。
スコティッシュフォールドの寿命は10~13歳といわれています。
ねこ全体の平均寿命が15歳前後であるのに対してやや短めですが、その理由はやはり遺伝子異常を抱えている猫種であることが関係しているのでしょう。
骨軟骨異形成症とは
骨軟骨異形成症とは、遺伝子異常によって起こる骨と軟骨の成長異常のことです。
さまざまな動物にみられる症状で、短頭種の犬猫(ブルドッグやペルシャなど)の鼻ぺちゃや、ダックスフンドやマンチカンの短足とともに、スコティッシュの折れ耳も骨軟骨異形成症の症状のひとつです。
骨軟骨異形成症の症状
スコティッシュフォールドは骨軟骨異形成症のため軟骨がうまく形成できません。
動くたびに脚の骨同士が直接ぶつかるようになり、それによって炎症が起き、骨が瘤状に異常に成長して骨瘤(こつりゅう)になります。
折れ耳のスコティッシュの場合は、ほぼ100%の確率で骨瘤が発症すると考えられています。早ければ生後数ヵ月で発症することもあり、骨瘤が神経を刺激し、痛みによってジャンプができない、痛くて歩きたがらない、触ると嫌がるなどの症状が起こります。
言葉が話せないねこちゃんですが、関節にかなりの痛みを感じていることは充分想像できます。
スコティッシュの人気が高まった理由として、「スコ座り」という後ろ足を前に投げ出した座り方がありますが、脚に体重をかけると痛いためにこのような座り方になっている可能性があります。
スコティッシュが穏やかでおとなしく、あまり動かないといわれるのも、脚の痛みや、関節に異常があって活発に動けないという事情が隠されているのかもしれません。
立て耳スコティッシュには2種類あるらしい
立て耳と折れ耳の交配が主流
スコティッシュには一定の割合で立て耳の個体が生まれます。
折れ耳よりも立て耳のほうが比較的、軟骨がしっかりしているため、骨軟骨異形成症のリスクは小さいと考えられています。
折れ耳同士の交配は重度の骨軟骨異形成症になるリスクが大きいため、海外では禁止されている地域があるほか、日本国内でも折れ耳同士の交配は推奨されていません。
したがって、現在日本国内で流通しているほとんどのスコティッシュの子猫は、折れ耳と立ち耳との交配で生まれた子どもたちです。
一方であたらしいスコティッシュが登場
スコティッシュの健康問題に注目したアメリカのブリーダーによって、スコティッシュとアメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアとの交配がおこなわれ、まったく別種の立て耳のスコティッシュが誕生しました。
別名「スコティッシュストレート」とも呼ばれていますが、このねこは骨軟骨異形成症の遺伝子を持っていないため、遺伝的疾患に対して強い個体が多いとされています。
まとめ
折れ耳のスコティッシュは健康面で問題が多いため、あえて立て耳の子猫を探している人も多いと思います。
ただし、日本のショップやブリーダーさんが飼育した立て耳のスコティッシュの子猫が、立て耳と折れ耳の交配で生まれた個体である以上、多少は軟骨が強い傾向があるのかもしれませんが、優性遺伝に起因する骨軟骨異形成症のリスクはゼロにはなりません。
アメリカで飼育されているストレート種については日本にはほとんど入ってきていないと思いますが、今後、世界的な動物愛護精神の流れから、やがてスコティッシュはストレートに統一していくような気がしています。
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