「肛門嚢炎」はあまり聞き慣れない難しい言葉ですが、犬にとって身近な病気です。
チワワやダックスなど体が小さい犬種に起こりやすい病気で、肛門の筋肉が弱いことが発症の原因だといわれています。
犬の肛門嚢炎の正しい知識を持って、愛犬のおしりのケアを的確におこないましょう。
肛門嚢炎って何?
肛門嚢とは
肛門嚢は肛門付近で分泌物を作り出す器官です。
この器官から出る分泌物はオスのマーキングに使われ、犬同士の挨拶でおしりの匂いを嗅ぎ合うときに嗅ぐものです。
肛門嚢炎の原因
肛門嚢が目詰まりを起こして分泌物が肛門嚢に溜まったままの状態になることがあります。
外に排出されないままになった分泌物に細菌が繁殖し始めることにより炎症が起こります。
肛門嚢炎の症状
細菌繁殖を起こすと、肛門嚢に膿が溜まってコブのように腫れてきます。
最悪の場合は、腫れた部分が破裂したり腫瘍化してしまうことがあります。
肛門嚢炎の治療法
投薬治療
抗生物質の投与で化膿を防ぎます。軽度なものであれば投薬のみで治療をすることが可能です。
外科治療
嚢炎が進行して投薬では治療しきれない場合は、排膿と洗浄をおこないます。
手術によって腫れて破裂してしまった肛門線も再生することができます。
肛門絞りをやってみよう
肛門嚢炎の予防のために、肛門線に溜まった分泌物を絞り出して、細菌繁殖や腫れを引き起こさないようにケアすることが可能です。
肛門絞りはペットサロンや動物病院でもやってもらえますが、慣れてくれば飼い主さん自身でもできるようになります。
肛門絞りの頻度
一般的な目安は1か月に1回です。
自宅でシャンプーをするときに、それに合わせて肛門しぼりをするといいのではないでしょうか。
用意するもの
ティッシュやウェットティッシュだけでも十分ですが、分泌液は非常に強い臭いがして、皮膚につくとなかなか臭いがとれません。
使い捨ての薄い手袋があると便利です。
ワンちゃんを自宅でシャンプーする際に一緒に肛門腺を絞る場合であればお湯ですぐに流せるので、特に必要なものはありません。
肛門絞りの方法
片手で軽く尻尾を上に持ち上げ、肛門がしっかり見えるようにします。
肛門の4時と8時の部分にプクッと膨れた部位があるので、そこを潰すように絞り出します。
分泌液が飛び散ることがあるので、気をつけましょう。
そのあとは肛門周辺を清潔にして仕上げ完了です。
慣れるまでは力加減やコツがつかめないと思うので、はじめは動物病院やトリミングサロンでしてもらい、立ち会って見学させてもらうといいかもしれません。
ネットでも肛門絞りの映像がアップされていますから参考にしてみてください。
まとめ
肛門嚢炎は、ある日突然かかる病気ではありません。
飼い主さんの毎日のケアで予防することが充分にできる病気です。
動物病院やペットサロンに相談して肛門絞りをマスターすれば、以後は飼い主さん自身でおしりのケアをしてあげられるようになります。
最初はなかなか上手くいかないかも知れませんが、小型犬種の飼い主さんにはぜひ肛門絞りを覚えてほしいと思います。