人間をはじめ、多くの哺乳動物の舌はピンク色をしています。
ところが、チャウチャウの舌はちょっと衝撃的な青黒い色をしていますよね。
このことについて、不思議に感じている人も多いのではないでしょうか。
今回はミステリアスなチャウチャウの舌の色の秘密について解説します。
成長にしたがって青黒くなる舌
青黒い舌はチャウチャウの特徴ですが、実は生まれてくる時はピンク色をしています。
生後8~10週間ほどで舌の色が徐々に黒っぽくなり、やがて全体が青黒く変化しますが、舌の一部にピンクの斑点が残ったり、年齢とともに舌の色が薄くなるケースもあるようです。
中国神話に登場するチャウチャウ
中国神話には、チャウチャウの舌の色の起源に関する伝説があります。
かつてチャウチャウは闇の世界に住んでいました。
夜に飽き飽きしたチャウチャウは、夜空を舌で舐めて昼間に変えることに決めました。
この行為が神をひどく怒らせ、神はチャウチャウの舌を黒い色に変える罰を与えました。
以後、チャウチャウは川面に映る自分の姿を見るたびに、神に逆らったことを恥ずかしく思ったそうです。
チャウチャウ以外にも青黒い舌を持つ犬種
チャウチャウ以外には、シャーペイも青黒い舌をしています。
シャーペイはチャウチャウとともに、古代犬種のハン・ドッグという犬をルーツにもっています。
ハン・ドッグは紀元前2000年頃の漢時代に存在していたことがわかっていますが、その後絶滅してしまったため、今となってはその舌の色を確認することはできません。
青黒い舌は舌班だった
舌班は舌に表れる青黒いシミです。
班の大きさはさまざまで、小さなものから舌の大部分を覆うものもあります。
いわば黒子のようなもので、健康に影響を及ぼすものではありません。
舌班はすべての犬種に見られますが、チャウチャウの舌の色は舌班が舌全体に広がったものであると考えられています。
今のところ青黒い舌の理由はよくわからない
オオカミに非常に近い血統をもつ犬を古代犬種といいます。
柴犬をはじめ、甲斐犬や北海道犬などの日本の古代犬種には舌班を持つ個体が多いことから、チャウチャウに近いルーツをもつと考えられています。
一方で、紀元前から存在していたバセンジーやファラオハウンドについては、舌班が多いという特徴はありません。
したがって、青黒い舌は古代犬種一般の特徴でもないようです。
そもそも、オオカミの舌の色はピンク色をしているので、その特徴を引き継いだというわけでもないのです。
舌班はメラニン値の変異ですが、それが舌全体に広がった理由に関しては解明されていないのが実情です。
チャウチャウの健康チェックの難しさ
チャウチャウの青黒い舌に健康上の問題はありませんが、注意しなければいけない点があります。
犬の舌が白っぽいときは貧血や体温低下、栄養不足の恐れがあります。
また、熱中症になると血液中の酸素が欠乏して舌や歯茎が青黒くなります。
黒く盛り上がったしこりのようなものが舌にできた場合はメラノーマの疑いがあります。
ほかの犬種であれば、口の中を見てこのような変化を発見できるのですが、チャウチャウの舌はもともと青黒いので病気を発見しにくいのです。
まとめ
どの犬種にも青黒い舌をもつ個体が生まれることがありますが、犬種自体の特徴となると、チャウチャウとシャーペイだけの個性です。
その点においても、かれらはミステリアスな存在ですが、今後研究がすすんで、いつかその理由が解明される日が来るかもしれませんね。